IoT、日本語だとモノのインターネット化(Internet of Things)のについて、特にトヨタ自動車やその系列の製造現場を中心にしてIoE、つまり「すべての」モノのインターネット化(Internet of Everything)と呼んでいることが多い。
単に同じ言葉を使いたくないと言うこだわりから出てきた造語なのか、その表現の本意はいったい何なのでしょう?
そもそも「モノのインターネット化」という翻訳に、皆さんは違和感を持ちませんか?
モノがインターネットに繋がる、という事を言いたいのでしょうが、モノ=Thingなんて表現しているのでけっこう漠然としていますよね。
本来は、管理したい対象物=Objectをつなぐというのが本質ですから、単にモノをなんでもかんでも繋げばいいというわけではないですね。
IoTという言葉が出てきてから、その言葉の翻訳に影響されてか、製造業の現場ではまずはとにかく全ての機器を繋がなければならない、といった現場の焦りが出てきているようで、「とにかく次に購入する機器はネットワークに繋がること」みたいになってきているように感じます。そうなってしまうと、繋いでデータを取得するはいいけど、貯めたデータも埋もれてセキュリティやストレージ管理費が高騰するなんてことになってしまいそうです。
だから、上記のような考えでEverythingなんて言葉が先行してしまったら、さらに現場は大変なことになりそうです。
最近見たものに、単なる検印スタンプも押した証拠がデータとして残るように送信機をつけて履歴管理をし、データをネットワーク保存するというものがあった。
そもそも検印スタンプという非常にアナログ的な作業を廃止できないのかという検討をする前に、なんでもかんでもセンサーを付けてしまう結果、このようなものが身の回りにあふれかえることになってしまいます。
ここで忘れられている視点は、仮にモノがすべてインターネットに繋がったとしても、それを使用する人がインターネットを介した指示や情報を無視して行動をして作業をされては困るという事です。
なんでもかんでもデータを取るようになることで、そのビッグデータを管理できるのか、そもそもシステムを合理化することが先ではないのかも同時に考える必要もあります。
なので、人間が介在する製造現場では、モノだけでなくヒトも含めたEverythingがインターネットに繋がっていないといけないという事になるわけですが、ヒトにはネットにつながるための無線LANのアンテナもEthernetポートも有りません。
そこで、ヒトがインターネットを介在して出て来た指示を間違いなくこなし(間違いを起こさないようなシステムを整備し)、ヒトが行った作業やその内容がネットにアップデートされてくる必要性がでてきます。そして、ヒトが行った作業を判定して結果をデータ化してフィードバックを返していくことにより、ヒトとモノ・ロボットが協調して生産性の上がる製造現場が出来上がります。
それが、単にモノだけでなくヒトも含めた全てが繋がる必要があると主張する根拠だと筆者は考えます。