インダストリ4.0を考える上でのキーワードの一つに、「サイバー・フィジカル・システム」というのがある。
これは、サイバー(コンピューターの内部に記録されているデータ・数値)とフィジカル(実社会・実際の人間の行動)の関連性が一致し、協調して動くという意味にとらえることが出来る。
では実際に、「人間の行動」をどうやってサイバーのシステムが検知するのか?その疑問に答える技術が、空間位置座標検出技術である。
難しそうな名前であるが、考えてみればこの手の技術はお手元の携帯電話・スマホにも搭載されているGPSもその技術の一つ。
仮に工場内にGPSアンテナみないなものを張り巡らせ、作業者に小型の発信機を取り付ければ、作業者の動きをGPSみたいなもので工場内を察知・管理することができるということ。
そうすれば、その作業員が定位置で手順通りの作業をしたのかを確認し、製品の製造が問題なく行われた事の「お墨付き」を与えることもできる、という活用方法である。
こう聞くとなんだか作業員にとってみれば、監視されているように威圧感を感じて働かなければならないように見えるが、発信機は作業者のバッジや腕時計・安全帯など組み込めれば気にはならないだろう。
逆に、その発信機の位置を計測することで、例えば工場内の高所作業者の安全・異常などを検出することも出来そうである。発信機の空間座標が、高いところから瞬時に下方に移動すれば、落下警報になったり、発信機が床すれすれの位置に移動し、動きがなくなれば、作業者が倒れたりしたことを発見でき、早期の救出が出来るようになる、といったメリットもあるだろう。
人の動きを察知できるのであれば、例えば発信機内蔵のビジターバッチを工場見学の人に付けてもらえば、安全確認のみならず立ち入り禁止箇所の侵入を発見でき、セキュリティ保護にもつながりそうである。
また、人の監視・管理目的ではなく、例えば、作業人員の無駄を排除するために、位置検出タグをオペレーターに持たせて、その人が働いている時の動きを記録し、徹底的に動線解析することにより、ムダを見つけてより作業効率の良い働き方を見出す、といった改善活動にも利用が出来そうである。
空間位置計測の話は、総務省のウェブページにも掲載されており、日本のモノづくりの現場に導入される日々も近そうである。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000169131.pdf
活用方法は無限大で、どのように活用されるのかが楽しみです。